函館にも雪が降り本格的な冬が訪れました。さて、今回は通所リハビリでの取り組みをご紹介いたします。
当院の通所リハビリは運動を中心としたリハビリを提供しています。しかし、ちょっとした休憩の時間や、リハビリが一段落したあとの空き時間に、塗り絵やナンプレなどの机上課題を行う利用者さまが多く、「同じ課題では飽きてしまう」「もっと有効に時間を使えないか」といった声が聞かれるようになりました。こうした声を受け、“空き時間の有効活用”と“新たなリハビリの形”を模索していきました。手は「第2の脳」と呼ばれるほど、細かな作業が認知面にも良い影響を与えると言われています。「手を使った作成物はないか」「同一法人内で役立つものはないか」と検討を重ね、たどり着いたのが“ぞうきん作り”です。関連事業所に確認したところ複数の施設で需要があり、とくに「子どもたちのために使ってほしい」という声を受け、まずは保育園で活用いただくことを目的に、「ぞうきんプロジェクト」がスタートしました。ぞうきんを作るためのタオルは、職員の寄付や包括支援センターの協力をいただき集めたもので、地域の温かい支えによって本取り組みが成り立っています。
取り組みの最中、利用者さまからは「昔はよく縫い物をしていたよ」と懐かしむ声が聞かれ、自然と会話が生まれ、楽しそうに作業される姿が印象的でした。身体機能的に針仕事が難しい方は布を切る係を担当したり、素材を提供してくださったりと、自分にできる役割を主体的に見つけて参加してくださいました。認知機能が低下している利用者さまも、スタッフの見守りのもと作業に参加することで表情が明るくなり、活動への反応が良好になるなど、精神的な活性化にもつながったと考えています。
プロジェクトの仕上げとして行った「ぞうきん贈呈式」では、利用者さま自身が園児へ直接手渡しを行いました。「こんなに喜んでもらえるなら、また頑張って作らないとね」「子どもたちと触れ合えるなんて、本当に素敵な時間でした」といった声が聞かれ、取り組みそのものの意義が一層深まった瞬間でした。贈呈式の様子はたくさん写真に収めましたので、作業に関わっていただいた利用者さまにも見ていただけるよう、通所リハ内に掲示する予定です。


院内/在宅リハビリテーション課長 佐藤 嶺(理学療法士)