日: 2025年6月2日
「失語症」をご存じですか?
2025年06月02日
私が言語聴覚士になった20数年前に比べると、テレビや新聞などで「失語症」という言葉をちらほら耳にする機会が増えた気がします。2012年にNHKドラマ「はつ恋」(主演:木村佳乃さん)で大きく取り上げられたのもきっかけでしょうか?
「失語症」は脳内の言葉をつかさどる部分が、病気やケガ(たとえば脳梗塞や脳出血、頭部外傷など)によってダメージを受け、言葉の操作がスムーズに出来なくなる障害です。言葉を使うことが難しいので「話す」だけでなく「聞く」「書く」「読む」ことが難しくなります。
例えば
・言いたいことがあるのに言葉が出てこない。
・言いたい言葉とちがう言葉を言ってしまう。
・相手の話が理解できない。
・文字を読んでも意味が理解できない。
・文字が思い出せない、異なる文字を書いてしまう。 など様々な症状があります。
ただし、知能が低くなるわけではありません。
性格や思考力、感情はそのままなので、はっきり理解できなくても“なんとなくこんなことを聞いているのかな?”と推測したり、指さしやジェスチャーで伝えたり、残された機能でコミュニケーションをとることができます。ですから、もし失語症の方に出会ったら、言葉が出るまで少し待ったり、短く言い換えたりするだけでも、ぐっと会話しやすくなります。
また当事者の方も
“失語症になってから人と会うのが億劫になって…”はもったいない!!
北海道言語聴覚士会道南支部では月に1回「失語症交流カフェ 言の輪(ことのわ)」を開催しています。お菓子やコーヒーを楽しみながら会話をしたり、レクレーションをしたり、同じ失語症の方やそのご家族と“もどかしさを共有しながらコミュニケーションを楽しむ場所”です。初めての方も言語聴覚士がサポートしますので安心してご参加ください。興味のある方は新聞や市政だよりなどをご覧ください。
また8月には「9月1日 言語聴覚の日」に合わせてイベントを準備中です。
こちらもまた、興味のある方は是非ご参加ください。
院内リハビリテーション課 主任 松島 環(言語聴覚士)