西堀病院リハビリ課のブログ 西堀病院リハビリ課のブログ

月: 2025年12月

  • 新しい上肢リハビリテーション機器「OUVERT(ウーベルト)

    2025年12月22日

    先日、リハビリテーション課にて、上肢リハビリテーション機器「OUVERT(ウーベルト)」のデモンストレーションを実施しました。

    OUVERT(ウーベルト)は、主に片麻痺の方の「麻痺手」に対するリハビリテーションを目的とした機器で、視覚情報とロボット動作を組み合わせた訓練が特徴です。

    ●非麻痺手の動きを活用したリハビリ●

    OUVERTでは、非麻痺手の動きを動画として取得し、それを左右反転させた映像がディスプレイに表示されます。

    その結果、画面上ではあたかも両手が同時に動いているような映像が提示されます。

    この視覚情報に合わせて、ロボットが麻痺手を動かす仕組みとなっており、

    * 非麻痺手の随意的な動き

    * 両手が動いているという視覚的入力

    * ロボットによる麻痺手への他動運動

    が組み合わさったリハビリを行うことができます。

    ●ミラーセラピーとしての活用の可能性●

    実際にデモを体験し、OUVERTはミラーセラピーとして非常に有効に活用できる機器であると感じました。

    非麻痺手の動きを反転表示することで、患者さんには「麻痺手が自分の意思で動いている」ような視覚情報が入力されます。

    この仕組みは、

    * 麻痺手の運動イメージの形成

    * 中枢神経系への刺激

    * 麻痺手に対する注意・意識づけ

    といった点において、麻痺手の機能回復を促すアプローチとして期待されます。

    ●実際に触れてみて●

    今回のデモンストレーションを通して、

    「麻痺手のリハビリに特化した仕組みであること」

    「視覚情報とロボット動作を組み合わせている点」

    に大きな可能性を感じました。

    今後も当院では、患者さんにとってより効果的で、科学的根拠に基づいたリハビリテーションを提供できるよう、新しい機器や取り組みについて検討していきたいと考えています。

    ※OUVERT(ウーベルト)の詳細については

    株式会社東北医工公式サイトをご覧ください。https://tohoku-ms.com/ouvert/

    リハビリ次長 伊丸岡 知明(作業療法士)

  • 第76回 北海道理学療法士学術大会に参加してきました!

    2025年12月19日

     今年もあとわずかで終わりを迎えます。皆さま、今年やり残したことや新年を迎える準備を進めておりますか?

     私は今年最後の大仕事、第76回 北海道理学療法士学術大会での演題発表と脳卒中を語る会という団体の自主企画セミナーの運営のため、12月13~14日に帯広市に行ってまいりました。

     1日目は脳卒中を語る会 自主企画セミナーで「その介助、ちょっと待った⁉~長下肢装具の介助歩行練習、みんなどうしてる?を学ぶワークショップ~」というタイトルで、道内の理学療法士の皆さまと、脳卒中片麻痺患者さまに対する長下肢装具を使った歩行練習で困っている事や対策などを議論いたしました。想定をはるかに超える参加数となり、ディスカッションも活発で時間が足りないくらいの盛会となりました。

     2日目は支援工学セッションでの演題発表で「生活期脳卒中片麻痺者に対する下肢装具型ロボットの有用性の検証」というテーマで発表させていただきました。発症から6ヶ月以上経過した片麻痺利用者さまの歩行速度や歩容を改善のための治療手段としてロボット技術を用いた理学療法は有効である可能性があるという事を報告し、多くの方々と意見交換できました。

     また、コロナ禍を経て、初めて対面での学会参加を経験した若手スタッフもおり、対面ならではの臨場感やリアルタイムでの演者とのディスカッション、同じような悩みを持つ理学療法士が身近にたくさんいるということを肌で感じることができ、とても勉強になったという声が聞かれております。

     来年は9月に小樽市で開催されます。もっともっと理学療法の可能性や新しい知見を学ぶ(発信する)ことができるよう、スタッフ一丸となって研鑽していきたいと思います。

    院内/在宅リハビリテーション課長 佐藤 嶺(理学療法士)

  • 新しいリハビリの形~利用者さまの社会参加へ~

    2025年12月04日

    函館にも雪が降り本格的な冬が訪れました。さて、今回は通所リハビリでの取り組みをご紹介いたします。

    当院の通所リハビリは運動を中心としたリハビリを提供しています。しかし、ちょっとした休憩の時間や、リハビリが一段落したあとの空き時間に、塗り絵やナンプレなどの机上課題を行う利用者さまが多く、「同じ課題では飽きてしまう」「もっと有効に時間を使えないか」といった声が聞かれるようになりました。こうした声を受け、“空き時間の有効活用”と“新たなリハビリの形”を模索していきました。手は「第2の脳」と呼ばれるほど、細かな作業が認知面にも良い影響を与えると言われています。「手を使った作成物はないか」「同一法人内で役立つものはないか」と検討を重ね、たどり着いたのが“ぞうきん作り”です。関連事業所に確認したところ複数の施設で需要があり、とくに「子どもたちのために使ってほしい」という声を受け、まずは保育園で活用いただくことを目的に、「ぞうきんプロジェクト」がスタートしました。ぞうきんを作るためのタオルは、職員の寄付や包括支援センターの協力をいただき集めたもので、地域の温かい支えによって本取り組みが成り立っています。

    取り組みの最中、利用者さまからは「昔はよく縫い物をしていたよ」と懐かしむ声が聞かれ、自然と会話が生まれ、楽しそうに作業される姿が印象的でした。身体機能的に針仕事が難しい方は布を切る係を担当したり、素材を提供してくださったりと、自分にできる役割を主体的に見つけて参加してくださいました。認知機能が低下している利用者さまも、スタッフの見守りのもと作業に参加することで表情が明るくなり、活動への反応が良好になるなど、精神的な活性化にもつながったと考えています。

    プロジェクトの仕上げとして行った「ぞうきん贈呈式」では、利用者さま自身が園児へ直接手渡しを行いました。「こんなに喜んでもらえるなら、また頑張って作らないとね」「子どもたちと触れ合えるなんて、本当に素敵な時間でした」といった声が聞かれ、取り組みそのものの意義が一層深まった瞬間でした。贈呈式の様子はたくさん写真に収めましたので、作業に関わっていただいた利用者さまにも見ていただけるよう、通所リハ内に掲示する予定です。

    院内/在宅リハビリテーション課長 佐藤 嶺(理学療法士)

  • 北海道七飯高等学校 2年生 地域課題探求発表会

    2025年12月04日

    皆さんこんにちは、理学療法士の田村です。9月に北海道七飯高校2年生の生徒5名が「フィールド・スタディ(現地実習)」の為、西堀病院を訪れていました。フィールド・スタディとは講義や文献から学んだ事柄を直接現地に赴いて調査・研究活動を行い、興味・関心を深める体験型学習の事です。当院の概要や特徴、リハビリ専門職の説明、病院・リハビリ見学をしていただきました。高校生はとても初々しく緊張していましたが、同時に初めての体験であり目を輝かせていました。

    11月下旬にフィールド・スタディで行った調査・研究活動の発表会があり、七飯高校の高校生たちが「道南の医療」として発表をしてくれました(下部写真)。フィールド・スタディで説明した事や体験した事をどの様に高校生が理解したかを私たちも知ることができ、大変参考になりました。

    今後も地域コミュティの強化として様々な活動を相互に行い、地域を活性化していきたいと思います。

    主任 田村 祐輔(理学療法士)